腰痛は病院で検査をしても8割以上が原因不明とされますが、痛みが出ている以上、必ず原因があります。
また、腰痛の多くは3つのタイプに分類できるので、タイプ別の体動やストレッチをおこなうことで、腰痛を予防、または改善することが期待できますよ。
腰痛の本当の原因
腰痛というと、椎間板ヘルニアや坐骨神経痛が原因だと思われがちですが、ほとんどの腰痛は骨盤のゆがみによってもたらされます。
では、なぜ骨盤がゆがむのかというと、それは筋肉が緊張して硬くなるからです。骨盤に付着する筋肉が硬くなることによって、筋肉の牽引力で骨盤が引っ張られ、結果としてゆがんでしまうという訳です。
骨盤のゆがみの3タイプ
腰痛は骨盤のゆがみによってもたらされることがほとんどですが、実は、骨盤のゆがみにも3つのタイプがあります。
前後型
腰の筋肉である腸腰筋(ちょうようきん)が硬くなったり、両足のバランスが悪くなったりすることで骨盤が前後にゆがみます。デスクワークなどでゆがむこともよくあります。
左右型
いつも同じ方にばかりバッグを掛けていたり、体重を片方の足にばかり掛けていたりすると、骨盤が左右に傾き、肩の高さや眉の高さが違って見えるようになります。
回旋型
どちらか片側の腕や足ばかりを使っていたり、普段から体幹をねじる動作が多かったりすると、骨盤が回旋してしまいます。ベルトの位置がずれたり、ズボンが回転したりする傾向が見られます。
体動とストレッチについて
ストレッチについてはみなさんよくご存じのことと思いますが、体動という言葉はあまり聞かれたことがないかもしれません。というのも、体動という言葉は辞書には載っていない、医療現場で使われている言葉だからです。
ごく簡単に説明すると、自分から進んでスポーツやエクササイズに取り組むのが運動で、日常生活の中で、少しでも身体を動かすように意識するのが体動です。
実際、病院や整骨院などで「運動してください」と言われると、「運動が苦手だから」とか「時間が割けなくて…」としり込みする方がいらっしゃいます。
ただ、日常生活の中でエスカレーターやエレベーターを利用せずに階段を使うとか、歩幅をほんの少しだけ大きくするとか、いくらでも工夫の余地はあります。
身体は使えば使うだけ応えてくれますし、使わなくなると使えなくなります。そのため、日々のストレッチや体動が重要となるのです。
骨盤のゆがみごとにおすすめの体動&ストレッチ
骨盤のゆがみには大きく分けて3つのタイプがあるので、それぞれに応じた体動やストレッチを紹介したいと思います。
骨盤が前後にゆがんでいる場合のストレッチ
骨盤が前後にゆがんで猫背気味になっている方には、上体を反らすストレッチと、つま先立ちの体動がおすすめです。
上体反らしストレッチ
上体を反らすストレッチはマッケンジー体操としても知られています。床にうつぶせになり、腕立て伏せのように両手を床につき、腕を伸ばしながら背中を大きく反らしましょう。
つま先立ちストレッチ
歯を磨く時や電車に乗っているときなどに、つま先立ちをすることで前後のバランスを整えることが可能です。両足を平行にして、つま先立ちになってかかとの上げ下げをおこないましょう。
骨盤が左右にゆがんでいる場合のストレッチ
骨盤が左右にゆがんでいる場合、どちらかのハムストリングス(太もものうらの筋肉)が緊張していたり、全身のバランスが傾いていたりします。
そんな方にはハムストリングスのストレッチと、日常生活における身体の使い方の改善がおすすめです。
ハムストリングスのストレッチ
床やヨガマットに仰向けになり、両手に持ったタオルを右足のかかとにかけます。右足を天井に向けて大きく上げながら、太もものうらを気持ちよく伸ばしましょう。反対側も同様に、左右30秒×3セットおこないましょう。
身体の両側を意識して使う
自転車で信号待ちをしている人の多くが左足をついていますが、これを右足に変えてみましょう。また、かばんを普段と反対側の肩にかけるのもよいでしょう。
「たったそれだけ?」と思われるかもしれませんが、骨盤はある日突然ゆがむものではなく、日常生活におけるちょっとしたクセの積み重ねでゆがむものです。そのため、たったそれだけの積み重ねが重要なのです。
骨盤が回旋している場合のストレッチ
骨盤が回旋している場合には、殿筋群(お尻の筋肉)のストレッチがおすすめです。なぜなら、殿筋群のほとんどが横方向や斜め方向に走行しているからです。
そのため、殿筋群が緊張すると股関節が硬くなり、骨盤が回旋してしまうからです。体動としては、歩き方を見直すのがおすすめです。
殿筋群のストレッチ
床やヨガマットに仰向けになり、右膝を両手で抱えて左肩方向へ引きつけます。ねじれを加えることで、効率的に殿筋をストレッチングできます。左右30秒×3セットおこないましょう。
歩幅を大きくする
骨盤が回旋している人の場合、どちらかの足を出したときの歩幅が狭かったり、足を踏み出す方向がズレていたりします。
それを改善するためには、歩幅を大きくするのが一番です。と言っても、ほんの5cmから10cm大きくするだけで十分ですよ。
まとめ
骨盤のゆがみは日常生活のちょっとしたクセからもたらされます。その蓄積が腰痛につながるので、普段からストレッチや体動を意識し、腰痛を未然に防いでください。
ただ、ストレッチをした時に痛みが出る場合は無理をせず、当院までご相談くださいね。